よくある「追放系」と侮るなかれ! 本格成長譚ファンタジー『セブンス』1~3巻レビュー

レビュー

原作:三嶋与夢 / 漫画:Nagy / キャラクター原案:ともぞ『セブンス』。

追放からスタートする物語なのに、どこにも「ざまぁ」がない。チートな力を持っているのに、序盤はボコボコに負け続ける。そして何より——7人のご先祖様(全員幽霊)に、毎ページのようにボロカスに説教される主人公が登場するファンタジーは、後にも先にもこれだけだと思います。

今回は、1〜3巻を読んだ感想をまとめます。

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『セブンス』1〜3巻、どんな話?

天才と称えられた少年が、完璧な妹に全てを奪われた。

主人公・ライエルは、かつて天才・麒麟児ともてはやされた名家ウォルト家の嫡男。しかし成長するにつれ、実妹・セレスがあらゆる面でライエルを凌駕していく。剣術も、魔法も、人望も。

そしてついに、セレスはライエルに決闘を申し込み——完膚なきまでに叩きのめす。

屋敷を追われ、跡取りの座も、居場所も失ったライエル。彼が持たされたのは一つだけ。歴代当主7人の記憶・技術(アーツ)が封印された、青い宝玉。

宝玉の中には、初代から7代目までの当主の”意識”が宿っている。いわば、7人の偉大な先祖が常にライエルの中で生きていて、容赦なく口を出してくるのです。

ヒロインは、元婚約者のノウェム。ライエルを盲信しすぎるほどに信頼する有能な少女で、彼女の存在が1巻から不思議な重みを持っています。

2巻では冒険者ギルドに登録し、底辺からのスタート。3巻では、物語最初の大きな山場となる「盗賊討伐編」が展開されます。


ここが面白い! 1〜3巻に一瞬で引き込まれる3つの魅力

【魅力①】甘えは許さない! 7人のご先祖様による「ガチ説教」が生むリアルな成長

追放系のお約束といえば「実はチートな力を持っていた主人公が無双する」展開ですよね。

『セブンス』はそうじゃない。

確かにライエルは歴代当主7人分の技術を引き継げる素質を持っている。でも宝玉に宿る先祖たちは、最初から力を貸してくれない

「まずお前自身が鍛えろ。土台のない器に何を注いでも無駄だ」

口々にそう言い放ちながら、ライエルのダメなところを、これでもかと指摘し続ける。

この「ご先祖様との掛け合い」が、この漫画最大の発明だと私は思っています。

シリアスな展開の中で絶妙な笑いが生まれるし、7人それぞれに個性があって飽きない。愛情があるのに口が悪い。突き放すようでいて、実は一番近くでライエルを見ている。

そしてライエルが少しずつ先祖たちの信頼を勝ち取っていくプロセスが——読んでいて、本当に熱い。

無双ものの「強くて最初から勝てる」快感ではなく、泥まみれになりながら少しずつ前進する男の成長を、この漫画は丁寧に描いてくれます。


【魅力②】ただの力押しじゃない! 知略と「アーツ」で格上をハメる頭脳戦

ライエルは序盤、正面からやり合ったらまず勝てません。

それでも彼が局面を打開していくのは、状況を読む頭と、先祖から継いだアーツ(技術)の使い方を工夫するからです。

3巻の「盗賊討伐編」では、この要素が見事に結実します。

周囲の大人たちは、ライエルのことを「使えない坊ちゃん」だと思っている。彼はその思い込みをそのまま利用する。「無能だと思われている」という状況を、作戦の武器に変えるのです。

読んでいて「やられた!」と思わず声が出ます。

さらにNagy先生の画力が、この「ハマった瞬間」を最高の絵として叩きつけてくれる。動きの迫力、キャラクターの表情、戦闘の緊張感——コミカライズとして完璧なクオリティで、ページをめくる手が止まりません。


【魅力③】圧倒的なラスボス感。実妹「セレス」という絶望的な壁

この漫画、ヴィランの描き方が秀逸です。

妹のセレスは1巻でライエルを叩きのめしたまま、2〜3巻ではほぼ登場しません。それでも彼女の存在感は作品全体に影を落とし続けている。

追放されたことへの怒りではなく、「自分がいなくてもウォルト家はあの妹がいれば回る」という事実が、ライエルの胸に刺さり続けるのです。

倒すべき壁が圧倒的すぎるからこそ、ライエルの一歩一歩が輝く。

これが、この漫画の構造の巧さです。


3巻ラスト、「化けの皮が剥がれたライエル」の爽快感

ここはネタバレを極力避けながら言わせてください。

「無能な坊ちゃん」として舐められ続けたライエルが、3巻のあるシーンで——初めて、本当の意味で「やる男」の顔を見せる。

それまで積み上げてきた泥臭い努力と、頭を使った作戦と、ご先祖様から少しずつ引き出してきた力が、一点に収束するあの瞬間。

読んでいてカタルシスを感じる瞬間ですね。

Nagy先生のアクション作画が全力で炸裂するそのシーンは、1〜3巻で最も鳥肌が立った場面です。ぜひ自分の目で確かめてほしい。


まとめ:4巻以降への「完璧な助走」として、今すぐ読むべき1〜3巻

『セブンス』の1〜3巻は、物語の序章といった感じ。

坊ちゃんが世界の厳しさを知り、先祖たちに鍛えられ、仲間を得て、初めて「勝ち筋のある戦い」を掴むまでの全過程が、丁寧に、熱く描かれています。

追放系に飽きたあなたへ。チートで最初から無双するだけの物語に物足りなさを感じているあなたへ。

4巻以降の本格的な展開への助走として、これほど完璧な序章はありません。今すぐ1巻を手に取ってください。

気づいたら3巻まで一気に読み終えているはずです。


『セブンス』1〜3巻 / 原作:三嶋与夢 / 漫画:Nagy / キャラクター原案:ともぞ(KADOKAWA・カドコミ)

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